CornPotage【短編集】
「天華!!」
私の名前だった。
私を呼んだ転入生は陣樹だった!
頭の中が真っ白になった。
陣樹が!!陣樹が!!
後の言葉が出てこない。
私は興奮していた。
嬉しくてたまらなかったのだ。
みんなは陣樹と私のことを不思議そうな顔でじーっと見ている。
「涙水さんは、もう知っているみたいだが
アメリカから転校して来て、親はそこに住んだまま
桜井くんだけここに着たそうだ。
みんなと違って一人暮らしでいろいろ大変だと思うから
学校のことは教えてやってくれ。」
先生は感心した目で陣樹の事を言った。
アメリカに住んでいたのか。
言葉の壁って、そういうことか。
私は、やっと陣樹の話を理解した。
「アメリカから来た、桜井 陣樹です!よろしくお願いします。」
陣樹が敬語言ったので、私にとって、可笑しかった。
「うわっ!日本語ペラペラじゃーん。アメリカ人っぽくもないし~。」
ある生徒が言った。
「陣樹に失礼だよ!陣樹は本当は日本人で、
偶々アメリカに居ただけなの。陣樹に謝りなよ。」
つい、言葉に出してしまった。
陣樹の前で恥をかいてしまう。どうしよう。
「・・・失礼なこと言ってすみませんでした。」
えっ!?謝った!?どうして?
私の言葉なんて、いつもだったら聞かないクセ・・・
いや、私が発言してないだけだ・・・。
自分が言ってないだけだ・・・。
今、思いやりで人を代えたんだ!
陣樹にあげた言葉を自分の物にできた。
ラビン、やったよ!
私、ラビンたちが言っていた事、今できたよ?