CornPotage【短編集】




「天華!!」


私の名前だった。



私を呼んだ転入生は陣樹だった!


頭の中が真っ白になった。



陣樹が!!陣樹が!!


後の言葉が出てこない。


私は興奮していた。


嬉しくてたまらなかったのだ。


みんなは陣樹と私のことを不思議そうな顔でじーっと見ている。



「涙水さんは、もう知っているみたいだが


アメリカから転校して来て、親はそこに住んだまま


桜井くんだけここに着たそうだ。



みんなと違って一人暮らしでいろいろ大変だと思うから

学校のことは教えてやってくれ。」


先生は感心した目で陣樹の事を言った。


アメリカに住んでいたのか。


言葉の壁って、そういうことか。



私は、やっと陣樹の話を理解した。




「アメリカから来た、桜井 陣樹です!よろしくお願いします。」



陣樹が敬語言ったので、私にとって、可笑しかった。



「うわっ!日本語ペラペラじゃーん。アメリカ人っぽくもないし~。」


ある生徒が言った。



「陣樹に失礼だよ!陣樹は本当は日本人で、


偶々アメリカに居ただけなの。陣樹に謝りなよ。」


つい、言葉に出してしまった。


陣樹の前で恥をかいてしまう。どうしよう。



「・・・失礼なこと言ってすみませんでした。」


えっ!?謝った!?どうして?



私の言葉なんて、いつもだったら聞かないクセ・・・


いや、私が発言してないだけだ・・・。


自分が言ってないだけだ・・・。


今、思いやりで人を代えたんだ!


陣樹にあげた言葉を自分の物にできた。


ラビン、やったよ!



私、ラビンたちが言っていた事、今できたよ?





< 80 / 284 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop