アイツに勝ちたい!!課題作品4
三章『決別は突然に…』
季節は巡り、時折吹く涼しげな風に淡い黄色や寂しげな茶色の葉が舞っていた。
もう後二ヶ月もすれば雪が降るかな…そんな事を考えていた。
相変わらず僕と"アイツ"
つまり原角は仲が良かった。
最初の頃は僕が一人でいる時にしか声を掛けてこなかったけれど、最近は所構わず話掛けて来ていた。
原角は何故か僕以外の人とは話さなかったし、僕自身も他の人とはあまり喋らなかった。
皆が勉強漬けになっているのを見て気後れしてた、と言うのもあるけれど…
でも原角は不思議と勉強もスポーツも出来た。
僕の知らない難しい事を知っているし、体育で走れば必ず僕の前にいた。
しかし、二人の関係はある日一変した。
その日、僕と原角は校内にある中庭で話していた。
すると突然
『建ちゃん…』
彩が声を掛けてきた…何だか難しい顔をしている…
『ねぇ…さっきから、誰と…話してるの?』
「え?原角君だよ、同じクラスの」
『…あのね、私の友達が建ちゃんのクラスにいるの』
「うん…?それで?」
『その子がね、最近建君がいつも一人で喋ってるって』
「え?ぼ、僕が?」
『私…気になって、さっきから隠れて見てたの…建ちゃんが一人二役で話してるの…どうし…て?』
その言葉を聞いた瞬間、僕の意識は弾け飛んだ。
闇の中で僕は彩の言葉をたどった…
(だから僕達は似てたのか…でも)
じゃあ僕が見てた原角君は…誰?だれ…ダレ?
次に僕が目を醒ましたのは病院のベッドの上だった。
周りには両親と彩がいる…
その後聞いた話は最悪だった。
解離性障害
多重人格
僕はそれに限りなく近づいていると言うのだ…
医師は、両親の期待が大きすぎたのと僕自身、我慢しすぎが原因だと言った。
それが転じて僕の心が原角を産み出したらしい…理想の自分を…
危機的状態ほどではない、すぐ回復するだろうと言う医師の言葉で
幸い入院にはならなかった。
けれど退院の時、医師は
『根本的に治療するためには、君が君自身に勝たなくてはいけない』
僕にそう言った…
僕が僕自身に…
つまりは僕が原角に…
勝たなくてはいけない…
もう後二ヶ月もすれば雪が降るかな…そんな事を考えていた。
相変わらず僕と"アイツ"
つまり原角は仲が良かった。
最初の頃は僕が一人でいる時にしか声を掛けてこなかったけれど、最近は所構わず話掛けて来ていた。
原角は何故か僕以外の人とは話さなかったし、僕自身も他の人とはあまり喋らなかった。
皆が勉強漬けになっているのを見て気後れしてた、と言うのもあるけれど…
でも原角は不思議と勉強もスポーツも出来た。
僕の知らない難しい事を知っているし、体育で走れば必ず僕の前にいた。
しかし、二人の関係はある日一変した。
その日、僕と原角は校内にある中庭で話していた。
すると突然
『建ちゃん…』
彩が声を掛けてきた…何だか難しい顔をしている…
『ねぇ…さっきから、誰と…話してるの?』
「え?原角君だよ、同じクラスの」
『…あのね、私の友達が建ちゃんのクラスにいるの』
「うん…?それで?」
『その子がね、最近建君がいつも一人で喋ってるって』
「え?ぼ、僕が?」
『私…気になって、さっきから隠れて見てたの…建ちゃんが一人二役で話してるの…どうし…て?』
その言葉を聞いた瞬間、僕の意識は弾け飛んだ。
闇の中で僕は彩の言葉をたどった…
(だから僕達は似てたのか…でも)
じゃあ僕が見てた原角君は…誰?だれ…ダレ?
次に僕が目を醒ましたのは病院のベッドの上だった。
周りには両親と彩がいる…
その後聞いた話は最悪だった。
解離性障害
多重人格
僕はそれに限りなく近づいていると言うのだ…
医師は、両親の期待が大きすぎたのと僕自身、我慢しすぎが原因だと言った。
それが転じて僕の心が原角を産み出したらしい…理想の自分を…
危機的状態ほどではない、すぐ回復するだろうと言う医師の言葉で
幸い入院にはならなかった。
けれど退院の時、医師は
『根本的に治療するためには、君が君自身に勝たなくてはいけない』
僕にそう言った…
僕が僕自身に…
つまりは僕が原角に…
勝たなくてはいけない…