線香花火【短編】
別れ
その時は、突然やって来た。

久しぶりに家に来る事になった彼。

私は嬉しくてお気に入りの服を着た。
彼が大好きな、たらこスパゲティーも作ったんだよ。

嬉しくて嬉しくて、彼と会う時間が来る為に時間を使った。



―――ピンポーン


チャイムが鳴る。
私は待ちきれなくて玄関まで走った。

ドアを開けると、いつもの彼の姿。

「いらっしゃい!!」

私は彼の首元に飛びついた。
彼の匂いが鼻に香ってくる。

香水を変えたのかな?

いつもの彼と違う香りがする。

「久しぶり」

なんだかそっけない彼は、家に入ってきて座布団に座る。

いつもは、着ているものを一番に脱いでリラックスするのに……

「どうしたの?」

嫌な予感がした。
こんな時ばかりは、自分の感の鋭さを恨んだ。

こんな状態が嫌で、私から口を開く。

「たらこスパゲティー作ったんだよ!!食べようよ」

「ああ」

いつもなら大喜びして私に抱きつくのに……分かりやすいよ。

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