線香花火【短編】
それでも私は、そんな事気のせいだって自分に言い聞かせた。
少し震える手で、たらこスパゲティーをテーブルに持っていった。
―――カタン
テーブルにたらこスパゲティ―を置くや否や、彼から話を切り出し始めてきた。
「なあ、美弥」
「なに?」
何気なく返事をするものの、内心ドキドキが止まらないんですが。
「俺……子供出来たんだわ」
「……」
「別れよう」
何それ。
そっけな。
子供?
頭が働かない。
やばい、胸が苦しい。
目の前にある彼の顔が、みるみるうちに涙でぼやけていく。
こんな顔見せたくないよ。
「……帰って」
「…本当にごめん」
「帰って!!!」
私は彼に対して、これ以上ない位叫んでいた。
彼もそんな私にびっくりして、そそくさと帰っていった。
―――バタン
「バカッ!!」
勢い良く閉まった玄関のドアに、思い切り叫んだ私。
俺が守るって言ったじゃん。
信じてた私がバカみたい……
バカだったんだ……