線香花火【短編】
その後の私は、ものすごい荒れていた。

記憶が断片的にしか無いの。
でも、その断片的な記憶が叫び狂っている状態。

感情なんか無くなってしまえば楽になるのに……


どれくらい時間が経ったんだろう?

気が付いたらトイレに居た。

気持ち悪い。

吐き気が止まらない。

おまけに頭も痛い。


私は立ち上がろうとした。

ううっ!!イタッ!!

フラフラして気持ち悪くて、足も手も力が入らない。


ヤバイ……


無意識のうちに出す警告が、頭の中を唯一冷静にさせていた。


純、呼ばなきゃ。


私は這いつくばって携帯にたどり着き、純に電話をかけた所までは覚えていた。

気が付いたらベッドに寝かされていた。
目を開けると心配そうな純の顔があった。

「よかったぁ~~」

純は俯きながら呟いている。

私は起き上がろうとした。
全身が痛くてだるい。

「ううっ」ってうなってる私に

「寝てなきゃだめだって!」

そう怒る純。

「来てくれたんだね」

私は寝かされながら弱々しく話す。

「ったりまえだろ!電話取っても何にも話さないんだもん。マジびっくりしたんだから」

「ごめん。」

「良いから寝てろって」

私はさっきの事が夢のように感じる。

でも、そうなんだよね。
受け止めなきゃならない現実。


涙が頬を伝う。


「私、振られちゃったよ……」


純は頷くと私の頭を撫でながら

「頑張ったね」

と言った。

私も頷きそのまま眠ってしまっていた。
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