線香花火【短編】
とっさに走った。
どこに行くあてもなく、ただ走っていた。
気が付くと家の近くの公園のベンチに座り、店長からのケーキを食べていた。
いや、食べていたと言うより口に押し込んでいた。
たまに喉が詰まりそうになり、むせながらもひたすら口にケーキを詰め込んだ。
味なんかしない。
口の周りに生クリームをベタベタつけながら、がむしゃらに食べてる。
よほど異様な光景だったのだろう。
周りの人達はコソコソ話しながら、私の周りから去っていった。
なんと私は、この短時間でケーキを一気に三つも平らげたのだ。
そして次に待っていたのは、有り得ない程の吐き気だった。
当たり前だよね。
何にも食べてなかった人が、いきなりケーキを一気に三つも食べたら私じゃなくても胃がビックリしちゃうよ。
私は、口を押さえながら近くのトイレに駆け込んだ。