線香花火【短編】
さっき見た状況が目から離れない。


目を瞑っても写る2人の姿。


私は泣きながら発狂した。





嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。




死んでしまいたい。


その時からだろう。


私は生きる事を放棄してしまった。

そして、死ぬ事も放棄してしまった。

生きる事も、死ぬ事もエネルギーが要る。

そんなエネルギーは、私の体には全く残っていなかった。

ただ生かされているだけの人形となった、私の体。

目は生きる意志を失い、ただ物を見ているだけのガラス玉となる。

ガラス玉は生きる意味を失い、温度を失い、ただそこに存在しているだけ。

常に焦点があわない目は、涙をも忘れてしまっていた。
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