線香花火【短編】
復活
まるで氷が溶けて草花が咲いていく様に、私の固まってしまっていた心は徐々に柔らかくなっていく。
これで、先に進めるよ。
又、純に頼ってしまってるね。
「純、ありがとう。純のおかげだよ」
「美弥、一緒に元気になろう。美弥と昔みたいに笑いあいたいよ」
私は首を横に振る。
「純の気持ちは嬉しいよ。でもこれ以上純に迷惑かけられない」
「迷惑なんかじゃ……」
私は純の言葉を遮る。
「純は私に色んな物をくれたの。今度は私がお返しする番だよ。」
「美弥…無理するなよ」
「もう大丈夫。心配いらないよ」
純は私から目を逸らして話し始めた。
「美弥は昔からそうなんだよな。いつも危なっかしくてさ……でも、そんな美弥を俺はほっとけないんだよ。こんな美弥を、もう見たくない」
純は私を見つめ、痩せこけた頬に手を当てる。
「俺はいつだって美弥を見てきた。もう自分の気持ちに嘘つけない。俺、美弥の事が……」
私は、慌てて純の口を手で塞いだ。