線香花火【短編】
おばちゃんは理由を聞く訳でもなく、私の姿に驚くでもなくいつも通り私に接する。

「疲れたじゃろ?何かたべれ」

そう言って、台所で準備をする。

私はおばちゃんを追いかけて、台所に行き手伝う。

こんな当たり前な時間が嬉しかった。


「ん…美味しい」

「じゃろ?うちの畑は無農薬じゃからね」

当たり前の事を、当たり前に感じられなくなった私……

私はご飯を食べた後も、全く吐き気をもよおさなかった。


まさに、おばちゃんマジック!!


その後お部屋に連れて行かれ

「ここ自由に使いんさい」

なんて言って、お風呂を沸かしに行った。


私は生きている。


そう感じていられる所だった。

周りには色んな生命かあり、生きるパワーがみなぎっている場所なのだ。


< 36 / 58 >

この作品をシェア

pagetop