線香花火【短編】
お風呂に入ってから、用意されていた浴衣姿で縁側に座った。

おばちゃんが横に座る。

「お風呂どうだったかい?」

「おばちゃん、良い湯だったよ~~」

私は、自然な笑顔で話した。

おばちゃんはうちわで扇ぎながら、ここの星は本当に綺麗じゃと話してくれた。

私は空を見上げた。

本当に、無数の星が空いっぱいに散りばめられている感じだった。


星ってこんなに綺麗だったんだ……


ずっと、空を見る余裕なんて無かったな。

私はおばちゃんに話し始めた。

「おばちゃん、聞かないの?」

「何をじゃね?」

「私がこうなった理由」

私は星を見ながら話す。

「聞いて何になんのね?過去なんか終わっちまった事さね。美弥ちゃんが、話したくなった時に話してくれれば良いさ」

おばちゃんは、おおらかに笑いながら答え立ち上がった。

「そっか…」

「お風呂入ってくるからね」

そういい残し、おばちゃんは行ってしまった。



生きる事の意味。



雄大な自然を見ていると、自分の悩んでいる事なんかちっぽけな事だって思えるよ。




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