線香花火【短編】

私はお風呂から上がったおばちゃんに、おじちゃんの事を聞いた。

おばちゃんは、悲しくならなかったのか?

生きている事が辛くならなかったのか?


気づいたら私は色々聞いていた。

おばちゃんは1つ1つ丁寧に答えてくれた。


――――その日、おじちゃんはいつも通り『行ってきます』そう言って家を出て行った。

その日は、台風のせいか雨がすごかったのだが、構わずおじちゃんは仕事に行った。

おじちゃんの仕事は警察官。

この村の事が気になって雨の中、見回りをしていた。

みんなが怪我していないか、橋は大丈夫か、困っている人は居ないか。

色々見回っているうちに、怪我をしたおばあちゃんが山の中でしゃがみこんでいるのを発見したのだ。

おばあちゃんに何でそこに居るのかと聞くと、おじいちゃんがまだ山に居るのだそう。

『おじいちゃんは俺が絶対見つけるから、おばあちゃんは病院に行きなさい』

そう言って、おじちゃんはそのおばあちゃんをおぶり、助けを無線で呼んで救急車でおばあちゃんを病院に運んでもらった。

おじちゃんは必死におじいちゃんを探しに、その山を捜索していた。

その時に、運悪く土砂崩れに巻き込まれたんだって。

その後、亡くなったおじさんはおばちゃんと対面したんだけど、発見された時はすでにおじちゃんの顔か分からない状態だったみたい。

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