線香花火【短編】

気が付いたら息が上がってた。

少し冷静になり、周りを見渡してみる。


枕が床に落ち、布団がベッドの上で山盛りになってる。
電気スタンドが倒れて、中の電球は床で粉々に割れていた。

台所はもっと悲惨な状態で、コップやお皿が粉々になって散乱し床を覆い尽くすほどだった。

壁には多分ぶつけたのであろう傷が多数有る。


「今日は久々にヒドいかも…」


数分間でこれだけの事が出来るなんて、我ながら感心するわ。

大きくため息をついてから、散乱したものを一つづつ片付けていった。

又、お皿買わなきゃな。

最近は、壊れても良いように100円均一のお皿ばかりになってしまった。

割れたお皿を片付けようと手を出した時にハッとしたんだ。


知らない傷が増えている。


さすがに血の気が引いた。
それは、明らかに自分で付けた傷だからだ。

しかも、さっきつけたように何本もの赤い筋が生々しく手首についていた。


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