線香花火【短編】
私はこの地に来てから、みるみる体調が良くなっていった。

さすが、自家製無農薬野菜!!!

私がやってる事は、畑仕事だけ。
かなりプロってきたんだよ、畑仕事。

毎日発見があって、すごく充実しているんだ。

生きてる物って、毎日変化するんだよ。
同じ状態って有り得ないんだ。


小鳥のさえずり

せみの成長

木々の匂い

雲の流れ

花の一生…


すべてが宝物だった。

私は、毎日日記をつけた。

毎日の些細な事や気持ちの変化、体の変化をつづった。

私の体は、以前のように張りを取り戻し、髪の毛も艶々した自慢の黒髪が生えてきた。

ずっと止まっていた生理もきたし、目に力が生まれた。


純とも、ずっと手紙でのやり取りをしている。

なにせ携帯が圏外のこの地に来てからは、文明の利器を使わなくなった。

純との文通は、新しい発見を持ってきてくれたんだ。


郵便屋さんを待つワクワク感だったり

相手が手紙を読んでどう思っているかドキドキ感だったり


色んな感情の発見があるんだよね。



今頃、純は何してるんだろう?



そんな事を、純の手紙を読みながら想像していた。

もしかして、彼女が出来たのかな?

そう思ったりすると、ちょっと悲しいな。


私は純からの手紙の返事を、早速書いたんだ。


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