線香花火【短編】
―――ドンッ
下を向いて歩いていた私は、誰かにぶつかってしまった。
あわてて顔を見上げて謝る。
「すみませ…ん…」
「本当だよ。前見ないとぶつかっちまうだろ!!」
!!!!!!!
そう優しく怒っているのは、紛れもなく純だった。
「純!!!」
私は、ボストンバックを投げ捨てて純に飛びついた。
いきなり飛びついていく私を、しっかりと受け止める純。
周りの目なんか気にせずに、強く抱きしめあった。
話したい事はいっぱいある。
言わなきゃならない事も。
でも、今は温もりを感じて居たかった。
「美弥、久しぶり。すごく会いたかったよ」