線香花火【短編】

「じゃあ」


純は私の顔を真っすぐに見つめて、ゴホンと一つ咳払いをした。



「好きです。付き合ってください」



そう言って、ものすごい笑顔で私を見た。


「もちろんだよ、純大好き」


こんな幸せが有って良いのだろうか?

私は泣きながら純に飛びつく。


懐かしい匂い。


純の力強い腕に抱きしめられる私。



体は覚えている。



この腕も


広い胸も


優しい鼓動も


胸に響く低い声も……



「もう離さないからな。どこにも行くな。ずっと俺の近くに居てくれ。俺が美弥を幸せにするから」



純の腕の中で頷いた。


「うん。ずっとずっと一緒に居るから」


純は嬉しそうに私を見つめた後、キスをした。


柔らかい純の唇。


又、初めての純の唇を体が感じとり、私の中にインプットする。



『純の唇』



優しくて甘いキス。




ありがとう純。




ありがとうおばちゃん。

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