線香花火【短編】
そっと離れて私の手を取る。
ゆっくりと丁寧に包帯をほどいていく純。

私は抵抗した。

「やだ!純大丈夫だから!!」

「美弥、お前見てらんないよ!!!食器もかなり無くなってるし、部屋真っ暗だし、お前震えててしかも傷だらけだし」

純は、一気にまくしたてて言った。


目をそらし苦しそうな純。


「……俺も、毎回今日みたいにすぐに来れるとは限らないんだぞ」

純、ごめんね。

苦しいのは私だけで充分だから。


「ごめんね。純」


そう言って、私は包帯を解いた。


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