約束の聖夜

タカノさんと出会ったのは、

夏の真ん中だった。


川沿いの友達のマンションから

花火を見る会…、

合コンという程でもない

友達の友達の集まり。

小さなホームパーティ。


どーん、どーん、という

花火の音にまぎれて、

たまたま隣にいた男性の

携帯が鳴った。

着メロは、季節はずれな

クリスマスの洋楽で。

みんな、どっと笑った。

だけど、ミユキも好きな曲。



「私もその曲、着メロにしてた

ことある!!」

そこから会話が始まった。


メルアドを交換して、

行きたい映画が偶然一緒で、

ふたりきりで出かけた。


ミユキが途中、友達に連絡する

用事があって、

メールを打ってると

「すごいね。俺、

 二行がせいいっぱい」

と言われた。でも別れてすぐ、

「今日はありがとう」と

メールが来た。

間違った文字変換で

映画の感想が

たくさん書いてあった。

「メール苦手なんだ」

と言ってた彼が、頑張って

送ってくれた、

ちょっと長いメールが嬉しくて。


すぐ返事を書いた。

気がつくといつも

メールを待ってた。


メールがかえって来ないと

溜息が出た。

たった二度しか

会ったことのない…

よく知らない人なのに。
< 5 / 13 >

この作品をシェア

pagetop