【企】Anniversary
あの日から、何もなかったように振る舞う楓。
だけど…。
俺の気持ちは…失恋にも感じる淋しかしかなかった。
教室で、仲間にいつも囲まれて笑顔を振りまいていた楓。
みんな戸惑いを隠せなかった。
「お父さんが、転勤するの!」
家庭の事情だとしても、楓を囲む友人たちは、『一緒に卒業したかった!!』そんな言葉を並べた。
野球部員も同じだった。
「県大会で、いい思い出作るから!」
楓も…同じ様に上位成績を願っていた。
多分…俺だけ一人。
現実を受けとめる事が出来なかった。
不安だけが、残って怖かったんだ。