恋愛〜先輩×後輩〜【完】
怖かった…。
男の人の力が強すぎて。
かなわなかった。
私は…顔を上げられないでいる。
美咲先輩が、私の方に近づいてくるのが分かるのに。
「ねぇ。」
「…はい。」
どうして…そんなに不機嫌そうな声をするの?
もしかして…怒ってるの?
「こっち、向いてよ。」
「………。」
「こっち、向けよ!!」
初めて聞く、美咲先輩の怒鳴り声。
いきなり腕を捕まれたのに驚いて顔を上げてしまった。
自分でも分かった。
一筋の冷たい何かが流れるのが。
「ごめん…なさい…」
「………。
何、やってんだよ。」
「……分からない…です。」
「何、他の男に襲わせる隙作ってんだよ…」
「ごめんなさい。」
「泣きたいのは…こっち。」
いきなり優しい声をして。
無理して笑う、美咲先輩。
どこかが、痛いような気がした。