恋愛〜先輩×後輩〜【完】


「………。」

パタン―――


先輩は行ってしまった。

何も言わずに。

でも、私だって何も言わなかったんだよね。

これで―――
本当にさよなら…




先輩が出ていった部屋で1人。

私はついこの間までの、幸せに溢れた、甘い時間を思い出していた。

思い出したくなんか、ないのに。




ペアの食器類も、ペアのリングも

先輩の匂いが残る、この布団も

全部、全部…
必要のないものになってしまったんだ。



私は付けなくなったネックレスチェーンに指輪を通し、首からかけた。

未練がましい。

分かっていても、捨てることなんか出来ない。



私は、ルミさんや、その周りからの執着から逃れたかった。

だから、先輩と別れるという選択をしたのに…

涙が止まらないのは、後悔をしているからかもしれない。




< 76 / 98 >

この作品をシェア

pagetop