恋愛〜先輩×後輩〜【完】
「………。」
パタン―――
先輩は行ってしまった。
何も言わずに。
でも、私だって何も言わなかったんだよね。
これで―――
本当にさよなら…
先輩が出ていった部屋で1人。
私はついこの間までの、幸せに溢れた、甘い時間を思い出していた。
思い出したくなんか、ないのに。
ペアの食器類も、ペアのリングも
先輩の匂いが残る、この布団も
全部、全部…
必要のないものになってしまったんだ。
私は付けなくなったネックレスチェーンに指輪を通し、首からかけた。
未練がましい。
分かっていても、捨てることなんか出来ない。
私は、ルミさんや、その周りからの執着から逃れたかった。
だから、先輩と別れるという選択をしたのに…
涙が止まらないのは、後悔をしているからかもしれない。