囁くように キミは




「おはよー」

「おはー、美香」



相変わらず騒がしい教室の中、登校してきた私を見るなり駆け寄ってくる美香。


教科書が詰まっていて、やけに重いスクールバックを机に置けば、ガンッと大きな音がした。



「机が可哀相‥」


苦笑する美香に「愛のムチだよ」と言えば、「ばか」と笑われた。



美香は高校に入ってできた友達、第一号。
もともと、馴れ合いとか友達が欲しいなんて思ってなかった私に、にこっと人懐っこい笑みを浮かべて近寄ってきた。

『ねぇ。一人でつまらなくないの?』

短く切り揃えられた黒髪を揺らして、美香は私に『友達になろう』と言ったんだ。


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