囁くように キミは




キーン コーン―‥‥


「みんな、よーく聞いとけよ。 今日は‥‥」


チャイムと同時に入って来た担任が、教段の上から忙しそうに今日の予定を告げる。

まともにそんな話聞いてる生徒は、指折り数える程度で。
ほとんどの生徒は、廊下で待っているであろう転校生が入って来るのを落ち着きもなく待っていた。



「今日は転校生が来てる。 入って来い」


よし、来た。
心の中でガッツポーズをしながら、入口の扉を見つめる。
いや、興味はないよ?
ただ美香が騒いでたから気になっただけで‥。


ガラ、と音を立てて開いた扉。と同時に入って来た長身の男。



「嘘‥、かっこいいじゃん‥」



小さく呟いた声は、女子の黄色い声で掻き消された。


黒く長い髪は無造作にセットされていて、前髪から覗く瞳は鋭い。



「堀 泰牙。よろしく」



心地良い低音。
私がボーッと見惚れていると、一列目の美香が得意げに微笑みながら振り返った。


はいはい‥私の負けだよ、美香ちゃん。


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