【中編】ベストフレンド
「それなりの覚悟があるんですね。安心しました。
あなたの気持ちが本物なら彼女が入院した理由と病院をお教えしますよ。明日の朝一番に会いに行ってあげて下さい」
その言葉に思わず安堵の溜息が出た。
同時に会社を休めといわれた理由が、このときようやく理解できた。
「ありがとうございます」
「亜里沙さんはここから車で10分ほどの【ヤマモトレディーズクリニック】に入院しているんですよ。
先ずはおめでとうと言っておくべきなのかな」
レディースクリニックと言われもすぐにはピンと来なかった。
意味が分からず『おめでとう?』とオウム返しに聞き返した俺に、山崎さんがクスッと笑って「解らないかな?」と言った。
それでもポカンとしている俺に、山崎さんは笑いながらその事実を教えてくれた。
俺は驚きの余り言葉を失った。
「亜里沙さんは妊娠しているんですよ」