【中編】ベストフレンド

その時、部屋の明かりが消えた。

眠ったのだろうか…。

どうか穏やかな夢を見ていて欲しい…。

そう思ったときだった。

病院から出てくる人影に、何気なく目を向けた俺は、ドアを開けて出てきた女性に目を見張った。

闇に身を隠すようにスルリとドアから抜け出すと、静かに夜道を歩き出す見覚えのある姿。



亜里沙――?



周囲を気にしながら、足早にペンションとも駅とも反対の方向へ歩き出そうとする。


亜里沙がまた俺の手から逃げ出そうとしている事を直感した。



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