【中編】ベストフレンド
亜里沙を探すため、陽歌も随分動いていたらしい。
彼女は俺と会った後、亜里沙のアルバムの写真を頼りに、過去に旅行した先を一人で探し回っていたのだ。
それは大学時代の友人との旅行から始まって、陽歌の夢の場所を探すために亜里沙が歩いた軌跡でもあった。
新婚早々に何日も家を空けて、晃先生を随分心配させたらしい。
「必要としてくれるときに傍にいるのが友達でしょ。
それがたとえどんなに遠い所でであろうと、亜里沙の為なら飛んで行くわよ。
それで離婚だなんて言うような心の狭い人と結婚した覚えは無いわ」
キッパリと言い切る陽歌に、やっぱりおまえって本物の親友だよなぁ。
と、頭が下がる。
同時に、先生が心の広い人でなかったら、今頃陽歌は俺達のせいで離婚していたかもしれない。と、晃先生の包容力にも深々と頭が下がった。
俺達夫婦は一生高端家に足を向けて寝ることは出来ないかもしれない。