【中編】ベストフレンド
「おまえの恋には俺が一番の協力者になってやるからな」
そう言って私の頭をガシガシと弄るように絡んできて、自然に肩を抱く拓巳。
あたりまえのように感じるこの『友達の温度』は、時にはとても心地よくて、時には血を吐くほど苦しい。
今夜私はあなたにウソをつく
「おまえには幸せになって欲しいんだ。
なんたっておまえは俺の『ベストフレンド』だからな」
無邪気に笑ってそう言う拓巳に本当の心を見せないために…。
ずっと拓巳の友達でいる為に…。
切ない想いを永遠に封じるウソをつく。
拓巳、あなたが好きよ
この想いを捨ててただの『ベストフレンド』になる為に。
今夜私は人生で最大の大芝居を演じよう