【中編】ベストフレンド

「おまえの恋には俺が一番の協力者になってやるからな」

そう言って私の頭をガシガシと弄るように絡んできて、自然に肩を抱く拓巳。

あたりまえのように感じるこの『友達の温度』は、時にはとても心地よくて、時には血を吐くほど苦しい。


今夜私はあなたにウソをつく


「おまえには幸せになって欲しいんだ。
なんたっておまえは俺の『ベストフレンド』だからな」


無邪気に笑ってそう言う拓巳に本当の心を見せないために…。


ずっと拓巳の友達でいる為に…。


切ない想いを永遠に封じるウソをつく。


拓巳、あなたが好きよ


この想いを捨ててただの『ベストフレンド』になる為に。


今夜私は人生で最大の大芝居を演じよう



< 22 / 148 >

この作品をシェア

pagetop