【中編】ベストフレンド
友達であるために
1.終わりと始まり Side拓巳
フラワーシャワーの中を6月の花嫁が新郎にエスコートを受けながら歩いてくる。
バージンロードを歩く幸せそうな二人を、複雑な思いで見つめる。
これで、良かったんだよな…。
ウェディングドレスの胸にあしらわれた銀の薔薇の刺繍が、花嫁の動くたび太陽を受けてキラキラと光り、フワリと広がるドレスが妖精のように愛らしい。
友人に見せる照れた仕草も、来賓に向ける微笑みも、全てあの新郎のものなのだと思うと、やはり嫉妬を抑えきれない部分があり、気がつけば溜息が出てしまう。
結婚式で溜息なんて俺くらいだろうな。
そう思っていたのに、すぐ傍から小さな溜息が聞こえて思わず振り返った。
バッチリと目があったのは、意外にも俺の良く知った顔だった。