【中編】ベストフレンド
「お礼なんて…幸せになってね、陽歌」
「うん、亜里沙も幸せになってね」
陽歌は亜里沙を抱きしめ、そのまま肩ごしに俺を見つめた。
「拓巳、もしかしたら来てくれないかと思っていたの。嬉しいわ」
亜里沙に最高の笑顔を向ける花嫁は、真夏の太陽のようにキラキラと輝いていた。
その瞳に眩しさを感じたのは俺だけではなかったのか
亜里沙は静かに微笑み瞳を伏せた。
ああ、この瞳だ。
俺が手に入れたかった最高に綺麗な瞳。
この目で俺を見つめて欲しいとどれだけ願っただろう。
もしもあの時、無理やりにでも彼女を抱いていたら、陽歌は今頃俺の腕の中にいたのかもしれない。
だけど、これでよかったのだと、今は思う。