【中編】ベストフレンド
陽歌が長い間見続けていた夢の男と出逢い、夢の意味を知ったとき、彼女は自分を支えることが出来ないほどに憔悴していた。
俺を惹き付けて止まなかった強い瞳の光は哀しみに染まり、強気の彼女では考えられないほど、脆くなっていた。
彼女を支えるのは自分でありたい。
出逢ったばかりの夢の男ではなく、6年間彼女を見続けた俺を受け入れて欲しいと強く思った。
だから一つの提案をした。
俺を受け入れるなら全力で陽歌を護る。
だがどんなに辛い現実も逃げずに受け入れられるなら先生のもとへ行け、と。
リスクのある提案だったが、心が弱った陽歌に冷静な判断が出来ないだろうと思っていた俺は、確実に彼女を手に入れる自信があったのだ。
実際に脆くも崩れた陽歌は一旦は俺の手中に納まったかに見えた。
だが組み敷かれた彼女の瞳は哀しげに揺れ
俺を通して別の誰かを見つめていた。