【中編】ベストフレンド

その瞬間

彼女の瞳に映るものは、俺ではダメなのだと悟った。

それと同時に、手に入れる為ならどんな手でも使おうと、陽歌の苦しみさえ利用していた自分の浅ましさに嫌気が差した。

陽歌を愛していると思っていたのに、俺は自分の事ばかりで彼女の不幸を何処かでチャンスだと喜んでいたのだ。

俺には彼女を手に入れる資格など無いのだと思った。


だから、背中を押してやった。


俺に背を向け部屋を駆け出していった陽歌の後姿が、今も瞼の裏に焼きついている。

だが後悔はしていない。

今日の陽歌の笑顔が、俺は間違っていなかったと教えてくれているのだから。


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