【中編】ベストフレンド
晃先生とは初対面だが、思っていたよりずっと優しそうな人だ。
ハッとするほど綺麗な瞳をした人で、とても愛情深く陽歌を見守っている。陽歌も同じく深い愛情を込めた瞳で見つめ返す。
これこそが俺の惚れた瞳だった。
どれほど長い年月俺が陽歌を想い続けても、彼女が俺を夫として受け入れることは決して出来なかったのだろうと、今だからこそ解る。
この瞳は最初から、彼女の中に生きるもう一人の女性と同じ風景を見て、同じ男性(ひと)を愛し続けていたのだから。
「ばーか。俺が結婚式に来ないわけないだろ?
発破を掛けたからにはちゃんと結婚式を見届けるまでは責任があるからな。
もう保護者の気分だぜ?
お前が落ち着かないと心配で新しい恋を見つけることも出来ないじゃねぇか」
「本当にありがとう。
あの時拓巳が背中を押してくれなかったら、私…」
戸惑った表情に俺への罪悪感が浮かぶ陽歌に、苦笑いを浮かべながら俺は最後の虚勢を張った。