【中編】ベストフレンド
「そうだなぁ。あの時おまえが決心しなかったら、今、隣にいたのは俺だったかもな。
まぁ、お前みたいなじゃじゃ馬を貰ってくれるって奇特な男が俺以外にもいるなんて、思わなかったけどな。
お前が選んだ道だ。絶対に逃げるな。
そして誰よりも幸せになれよ」
「…うん。ありがとう。…ゴメンね」
「謝るなって、俺がモテるの知ってんだろ?
これでも傷つけずに断るのって大変なんだぜ?
今までは俺がお前に惚れているってのが周知の事実だったから、いい隠れ蓑だったんだけどなぁ。
お前の結婚が決まってから携帯が鳴りっぱなしでさ…最近は電源を入れるのが怖いんだぜ」
うんざりと言った表情でおどけると、ようやく再び笑みが戻った。
そうそう、花嫁にはやはり幸せに笑っていてもらわないとな。