【中編】ベストフレンド
戸惑う私に拓巳は慣れた様子でウェイターを呼びオーダーをしている。
海外への添乗も多いため、こういった場所には慣れているんだろう。
そう言えば、レストランに入るときのさりげないエスコートも見事だった。
だけど、本当にどういうつもりなんだろう。
誘われた時はこんな所へ来るなんて思いもしなかったし、軽い気持ちでOKしたけど、これじゃまるで恋人同士みたいじゃない。
テーブルのキャンドルに浮かび上がる拓巳の横顔が、何だかいつもよりも優しく見えてドキッとしてしまう。
ロマンティックな雰囲気に二人きりは、気持ちを抑えるのに必死な私にとって、かなり苦しいものがある。
胸が高鳴って
苦しくて
いつもと同じように笑えている自信が無い。
どうして?
なぜ今日に限って、こんな風に私を誘ったの?