【中編】ベストフレンド
耳を疑ったが亜里沙の目は真剣だった。
冗談だよ…
そう言って笑えばよかった筈なのに、俺はその言葉を飲み込んでしまった。
何故だろう。
亜里沙を抱きしめたいと思ったのは。
傷心を癒す為に亜里沙を抱きたかったわけじゃない。
亜里沙を本当に欲しいと思ったんだ。
俺の部屋まで来ても亜里沙の決心は揺るがなかった。
俺はむしろ『冗談よ。本気にしたの?』と、からかってくれる事を期待していたのかもしれない。
抱けば俺達の中の何かが変わってしまう。そんな事は解っていた。
だから抱くことで親友としての亜里沙を失うのが怖かった。
理性はそう思っていた。
でも俺の中の何かが彼女を求めて止まらなかった。