【中編】ベストフレンド
悲しげな光を宿し潤んだ瞳は、俺の知っているいつもの亜里沙ではなかった。
俺を抱きしめてくれる細い腕も
口付けるたびに漏れる甘い吐息も
何もかも狂おしいほどに愛しかった。
亜里沙が甘い吐息で切なげに『拓巳』と俺を呼ぶ。
その声がささくれた心の傷をそっと撫でてくれるようで、心の渇きを潤すように亜里沙を求めた。
聞きたかったのは亜里沙の声だった。
あれだけ長い間一途に思い続けた陽歌ではなく、亜里沙の声が聞きたくて、俺を呼んで欲しくて…。
奪うように口付けては、激しく抱きしめた。