【中編】ベストフレンド
亜里沙は抵抗する様子もなく、むしろ何もかも解っているように優しく抱きとめ、俺を心ごと温かく包んでくれた。
頬を流れた一筋の涙が、青白い月明かりに反射して、幻想的に煌く。
涙の理由を問い掛けるように唇で吸い取ると、亜里沙は静かに首を横にふり、何も訊くなと無言で語った。
見たことの無い亜里沙の表情に心を奪われた。
初めて見た亜里沙の涙。
それが余りに綺麗で…。
余りに切なげで…。
彼女を欲しいと思う気持ちを止める事はできなかった。