君に届けたい想い
――――
―…

「よし!出席を取るぞ~。飯田、井上、大山、神田~…」


いつもと同じ順番に呼ばれていく生徒の名前。


「……清水、島田、立川~…」


「……」


返事がない。
あなたの存在を初めて知ったときもそうだったね。


「またいないのか…。どうせ屋上だろうな...」


屋上。
それはあなたと初めて出会った場所。
その言葉を聞くたびにドキドキする。


行けば…星也君に会えるの?



「じゃぁ…今日は、吉野。お前が……」


「先生!!私が行きます…」


声を上げたのは私、…じゃない。



確かに、今言おうと思ってたけど...
向こうの人の方がちょっと早かった。


声のした先を見てみると…


「おぉ~、田中か。よし、頼んだぞ」


田中由美[たなかゆみ]
その子は私よりも可愛く、背が小さい。
小さくてモテるタイプ。小柄でとっても可愛い。


でも、由美ちゃんは普段積極的じゃないじゃん…。
こういうのだって、絶対に嫌がるタイプなのに...
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