君に届けたい想い
「……」


二人の間に流れる沈黙。
今は話題を作らなきゃ、とは思わない。



思ったことは、
今すぐここから逃げ出したい
それだけだった。


でもそれを行動に移すことが出来ず、どうしようもない私。
ただ、立っているだけだ。



もうこんなところにいたくない。
星也君と一緒にいたって、ただ心臓がドキドキしてるだけ。
私たちは付き合ってないもん。
星也君は私のこと嫌いなんだもん。
星也君は私のことどうも思ってないもん。


―そう考えると泣きそうになる。
ポロポロと流れ出る涙。
少しの量だった涙も、後になりどんどん増えてくる。


こんな姿、星也君に見せたくないのに。
星也君がこんなの見たら、心配しちゃうじゃん。
星也君、すっごく心配性なんだもん。


「………ま、愛実ちゃん、どうしたの?!どこか…痛いの?」


ほらね、思った通り。
星也君、すっごく慌ててるよ。


「別に…どこも痛くないよ。ただ、自然と涙が出ちゃっただけ」


「そんなわけないじゃん!!…やっぱりどこか痛いんじゃないの??」


星也君が私の背中に触れる。
でも次の瞬間、聞きたくない言葉を星也君が言った。


「ごめん…。俺が愛実ちゃんに触る資格なんて、無いんだよな……」


そう言って星也君は私の体に触れるのをやめた。



痛いのは、私の心だよ…。
私の心にたくさんの傷が付いてる。
その傷を癒せるのは星也君しかいないのに…
あなたがそんなこと言ったら、私の心にまた傷が増えるだけ。
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