君に届けたい想い
“ギュッ―”


一瞬の出来事だった。


最初は分からなかったけど―
後になって気付いた。
――私、悠人君に抱きしめられてる?!


いつもの抱きしめより力が強い。


「ゆっ…悠人君…??」


精一杯の声を出す。
抱きしめられてて、ちょっと声が出しにくかったけど。


「ゴメン…。やっぱ俺愛実ちゃんの事、好き――」


悠人君から出た言葉。
私の事…“好きだ”って……


それは良い言葉なのに…


体が思い出す感覚。


"男の人なんて、信じない―"


怖い、怖い…。抱きしめられてる…
男は体だけ―。


涙が出る。


ポロポロポロポロ…。
止めようと思っても止まらない。
涙は出続けるばかり。


怖い…
助けてよ、彩夏―!!
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