詩集
不完全なままの球体

 点と線で繋げて出来た
 いつか見た
 未完成のパズルの緑は
 穴が空いた雲に
 覆われたまま

 僕は回らない観覧車の中
 君は小さくなって
 迷子になった

 そこには夢も時もない
 心に灰が積もるだけ


 血はいずれ雨で流される
 だけど涙は降り続ける

 汚れた踵で割った
 鏡の破片が
 優しかったあの頃の表情を
 粉々にして
 
 耳鳴りする程の
 不協和音で
 観覧車は墜落する

 不完全なままの球体を
 胸に抱えたまま

< 14 / 17 >

この作品をシェア

pagetop