狼少年
麻由の隣(そして私の前)は、修司で。その横はたしか、「桂」っていう男子だ。机を動かした途端、鞄をぶら下げて帰っていった。
あれ、絶対どっかで見たことあると思うんだけどな。
「じゃ、帰るね、ばいばい。」
考えながらも席を立ち、麻由にそう声をかけた。
「あいよ。また明日ー」
席でメールを打つ麻由は、多分彼氏と連絡を取って放課後デートだろう。
私は一人駅へと向かった。いつも一緒に帰っている佑香は今日委員会らしい。