狼少年
「肉食べるんだし、キャベツは絶対いる。」
麻由が熱く語るのを聞き流しながら、私は書記の仕事を進める。修司もノリノリで会話に花を咲かせる一方で、桂は机に伏している。
「マシュマロ焼こうぜ」
キャベツ、マシュマロ…っと。
「あやこは?なんか食べたい物ある??」
「んー…カボチャとか?」
「ってかこれって野菜とか切って持ってくんだよね。遠足っていつだっけ。」
「再来週の月曜だよ。」
黒板を見ながら私は答えた。5月2日。はっしーの角ばった字でそう表記されていた。
「わりとすぐじゃん。ってか桂あんたやる気ないね」
麻由は呆れた表情で桂の机をばしばしと叩いた。
「正直なんでもいいし。」
そっけない桂の態度。協調性のない奴だ。と、彼がこちらに目を向ける。
「…何?」
感じ悪。
「べつに。」
私は目をそらして返事だけした。