狼少年
気持ち悪い…。でもあと3駅だし。でも仮に次の駅でこれを降りたら、後ろ1時間くらいは電車が無かった気がする。ゆっくりと息を吐き出した。
「何してんの?」
「は、?」
誰かに二の腕を摑まれると同時に、声が降ってきた。顔を上げると、そこには意外な人物。
「なに、って…。」
言われても。学生に囲まれて身動き取れないし気分悪いしで大人しくしてんだよ。
そんなことも言えないくらい吐き気がして、摑まれてないほうの右手で口を押さえた。
「…こっち来い。」
桂は私を無理矢理その場から引き抜いて、車両の端っこにあるわりと広いスペースに押し込んだ。人の熱気とかが無くて、空気も澄んでる気がする。深呼吸をして、最初に気になったことを口に出した。
「なんでいんの?」