狼少年
翻弄の5月
1.
駅に向かう道は、そこそこ曇っていて。私の気持ちとシンクロしているような気がした。
「で?」
「…ハイ……」
「なんで、帰ったの。」
噛み締めるようにゆっくりと言葉を発する麻由は、どこからどう見ても怒っている。
それもまあ、自業自得っていやあ自業自得なんだけど。
「あやこの携帯は繋がらないし。かと思ったら桂一人でのこのこ現れるし。しかも何故かあやこの携帯持ってるし?」
「うう……。」
自業自得なんだけど。やっぱり私が責められることに理不尽さを否めない。恨めしげに少し離れた座席で寝てる桂を睨んだ。