狼少年
「焼くわよー!」

「おー!」

やる気まんまんの麻由と修司について行けなくて、私は曖昧に笑いながら二人を手伝った。

とある河川敷に到着した私たちのクラスは、はっしー指導のもと、こうしてバーベキューを開始した。はっしーは見た目こそインテリ系(実際頭いいから先生なんてやってるんだろうけど)だけど、アウトドアも結構好きらしい。木炭と着火剤を迅速に配り終えて、手近な場所に用意していたグループと肉を突いている。

で、桂はと言うと。

「あやこ、そのカボチャ取って。あ、横の肉も。」

……見事に私をこき使いやがる。

「こっちのばっかり欲しいなら場所移りなよ。欝陶しい」

「サラっと暴言吐くね。」

あ、つい心の声が。

「移ったら俺が二人の巻き添えくらうじゃん。面倒臭い。」

桂のことばにちらっとその「二人」に目をやった。
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