狼少年
実際私は「巻き添えくらってる」んだけど。まあ、嫌ではないからよしとする。

「桂ってほんとさめてるわね。そんなだったら何も楽しくないでしょーに。」

「別に…。」

どうやら一段落着いたらしく、修司は木炭を補充しに行ったみたいで、麻由は私の横にしゃがんだ。麻由に声を掛けられた途端に、桂は進んだ箸を止める。

「あやこにばっかりちょっかい出してー。あんたその元気を集団行動に生かしなさいよ?」

「麻由……。」

私の事情を知ってるから、心配してくれてんだろうけど。

もうちょっと言い方ないのか。あるよね?

「だって俺あやこのことスキだし。」



たまたまだと思う。点在するグループがその場その場で喋ってて、ふ と会話が途切れることってあるじゃん。

そんな感じ。ふっと周囲が静かになったときに、桂の声は、周囲に響いた。
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