狼少年
どっかで見たような。あの猫背のシルエットに黒い髪の毛…。
「んー。」
考えながなら数字の10をひとつ削除する。
「何唸ってんの。っていうかあたしが書いた方を消すなよ」
「別に……ってか1つ残ってたらどっちでもいいじゃん。」
愚痴をこぼしながらも楽しそうなのは、麻由だからだと思う。彼女はいつでも楽しそうに笑う。
「あやこ、それ終わったら購買行こう。弁当足りないわ。」
ほっそい腕で携帯いじる彼女を観察してると、またもや購買に誘われた。
「食べるのによく太らないね。」
「だってあたしの胃袋ブラックホールだし。」
二人で数秒見つめ合って、爆笑した。