狼少年

そして放課後。

「席替えするからショート終わったら全員残ってー。」

帰りのショートホームルームが始まる前にクラスの皆に呼びかける。一番前の真ん中だからそういうのは楽だった。あみだくじも5限と6限使って回ったし、席順を写すのに後ろの黒板も既に枠が書き込まれている。

ざわざわと教室の中がにぎやかになる。多分2年なってから初めての席替えだから、皆そわそわしてるんだろう。私は今のこのサイアクな席から逃げれたらそれでいんだけどね。

そうこうしてたらはっしーがドアを開けて入ってきた。


「お、さすがあやこ。準備いいね。」

「無理矢理任命したくせに…。」

「なんか言ったか?」

「いいえ、何も。」


ぼそっと文句言ったらはっしーに笑顔ですごまれた。教師のくせにいかついっ!

「修司、お前も生活委員候補なんだから手伝ってやりな。」

「ええーっめんどくせ…」

「何か、言ったか?」

「いいえいえなにも!」

二人のやりとりにクラスメートが笑う。このクラスでははっしーの命令は絶対だから、修司も渋々手伝ってくれることになった。

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