雪国サンタ
雪国サンタ
もう季節は12月。
街はクリスマスムード。
今年もクリスマスは1人か…
なんて考えながら授業中
外を見つめるあたし。
『何ボーとしてんだよ。』
隣から聞き慣れた声が。
『授業聞いてねえと、更になまら馬鹿になるぞ。』
嫌みを言ってくる隣のこいつ。
米田信二。通称よね。
先月北海道から転校してきたばかり。
毎日毎日嫌みを言ってくるこいつ。
でも、憎めなくて、嫌いになれなくて
よねを好きになってしまったあたし。
『おい、聞いてんのか?』
『うえっ?あっ、うん。聞いてる。聞いてる。』
『たいがい2回言う奴は嘘ついてるんだべ。』
バレてましたか…
『てか、こっちはあんま雪降らねえんだな。北海道はこの季節大変なのに。』
『雪はあんまり見た事ないなあ…』
ずっと生まれも育ちも
都会のあたし。
雪が積もっているところ
は見た事ない。
だから小さい頃は
雪遊びをするのが夢だった。
『なあ、戸崎。』
あたしの名前を呼ぶよね。
名前を呼ばれるだけでも
ドキドキする。
『なっ何?』
『サンタっていると思う?』
『いきなりどうしたの?』
『いいから答えなさい。』
なぜ命令…
なんて思いながらも
『いっいると思う…』
と答えたあたし。
『じゃあ、欲しいプレゼントは?』
プレゼント…?
何だろう…
『うーん。幸せかなあ?』
『何だそれ。』
『何だそれって、聞いてきたのはよねじゃん!じゃあよねの欲しいものは?』
『隣にいる奴で、サンタがいるって信じてる可愛い奴。』
………………Σ!?
『あっあっあっあたし!?』
『お前しかいねえよ。』
少しばかり早いけど雪国から
やって来たサンタさん
からの愛のプレゼント。
今年のクリスマスは
雪国サンタさんと過ごす
素敵なクリスマスになりそうな予感。
END