すれ違いの恋
初めて
仕事にも慣れ始め、客とも徐々にコミュニケーションもとれて来たある日、美江と言う1人の女性が来店してきた。美江は26才。俺より2才年上のエステティシャンで、1店舗任せられている小柄なワイン好きの女だ。
美江はカウンターの席に座るなり、赤ワインを注文した。俺はワインはそれほど得意ではなかったので、正直飲みたくなかった。
「あんた名前は?」初対面なので、当たり前の質問なのだが、少し戸惑った。
「初めまして、唯久斗です。」美江は名刺を受け取った。
「何で水商売しようと思ったん?」
「何でって言われても…」俺は答えに困った。その瞬間美江が、
「この子は伸びると思うわ」と、俺とマスターに言った。その時マスターは何を思ったかわからないが、俺の頭の中は?でいっぱいだった。
「何でですか?」俺は聞き返した。
「何か目標を持ってやるのも、もちろんいいけど、その人は早く達成したいから、それなりに出来たら、すぐに次に行こうとする人が多い。まだどうしたらいいかわからない人は、時間がたっぷりあるから、少しずつ完璧にやろうとする人が多いかな。」俺は何となくだが、納得出来た。そしてこの日初めて、俺は携帯番号を聞かれた。
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